2015年9月、バルセロナ滞在中に3泊4日の予定でポルトガルの首都リスボンを訪れます。ポルトガルはヨーロッパ諸国の中で最も西に位置し、大航海時代の繁栄ぶりをうかがい知ることの出来る国です。また、リスボンは「7つの丘の都」とも言われており、小高い丘に囲まれた街には独特の雰囲気があります。
前編でリスポン市街を、後編でロカ岬とその周辺を紹介します。
バルセロナから約2時間のフライト。スペインとポルトガルの間には1時間の時差がありますので、時計の上では1時間程でリスポンに到着します。その分帰りは3時間かかることになりますが。
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イベリア半島の中央部を悠々と流れるテージョ川。大西洋へと注ぐ出口には巨大な河口、そこにリスボンの街があります。
それにしてもトラの横顔のような地形ですね。
テージョ川沿いにあるジェロニモス修道院とベレンの塔がリスボンの世界遺産になっています。
リスボン名物の路面電車を使って、リスボン市街の見どころや世界遺産を見て回ります。
バルセロナ空港を出発。
リスボンが近づいて来ました。
午前中にリスボン空港に到着。午後から市内観光の予定です。
ホテルはBeautique hotels figueira、フィゲイラ広場の正面にあります。
フィゲイラ広場。リスボンの中心部にある広場です。
広場の中央にはポルトガルの全盛期を築いた国王ジョアン1世の騎馬像があります。この広場の周辺には地下鉄やバス、路面電車の駅があり、カフェやレストランなども多くとても便利なところです。
リスボン名物のかわいい路面電車。かつては車掌が運転手に合図を送るために紐を引いて鐘をならすことからチンチン電車とも呼ばれていました。ホテルの前が始発駅になっています。
リスボン市内からテージョ川に沿って西へ8km程のところにあります。
「ジェロニモス修道院とベレンの塔」が1983年に世界遺産に登録されました。
こちらはベレンの塔。テージョ川を行き来する船を監視するための要塞です。ヴァスコ・ダ・ガマの世界一周を記念して作られたマヌエル様式の塔です。
水上に浮かぶ要塞。橋を渡って行きます。
内部は要塞にしては繊細な造りですが、大砲が並んでいます。
屋上に上がるとテージョ川が見渡せます。
監視塔のようです。
テージョ川ののどかな雰囲気が漂ってきます。
「4月25日橋」が見えています。2,277mの長さで、サンフランシスコのベイ・ブリッジのような感じの橋です。それもそのはずで同じ会社によって建設されています。
橋の手前に「発見のモニュメント」があります。後で見学します。
ヨットの向こうには大西洋が広がっています。
ベレンの塔を後にしてジェロニモス修道院に向かいますが、途中にある「発見のモニュメント」に立ち寄ります。
「発見のモニュメント」、大航海時代の功労者であるエンリケ航海王子の死後500年を記念して1960年に建てられました。高さは52m、ポルトガルの名だたる偉人の像が飾られています。
先頭に立つのがエンリケ航海王子。ホテルの前の像ジョアン1世の息子です。
反対側にも像があります。
三番目がインド航路を発見したヴァスコ・ダ・ガマ、5番目が初めて世界を一周したマゼランです。
最後から2番目がフランシスコ・ザビエル、日本へキリスト教を伝導した宣教師ですね。
LOVEという文字が!
鍵が掛けられています。パリでもセーヌ川の橋に同じようなものがありましたが、カップルが愛を確かめ合うために掛けたものです。
広場には世界地図が描かれています。ヨーロッパから喜望峰を回り、
インドへ、
そして東南アジアを経由して、日本へと繋がっています。
当時のヨーロッパからすれば日本ははるかに遠い国、まさにFar East 極東ですね。
かわいいトレーラのヨーグルト屋さん。
発見のモニュメントから世界遺産ジェロニモス修道院が見えます。
9月だというのに、カモの赤ちゃんがいます。
ジェロニモス修道院にやって来ました。ヴァスコ・ダ・ガマのインド航路開拓を記念して、16世紀から300年以上もかけて建設された白亜の大寺院です。
午後3時半頃でもありスムーズに入場出来そうです。午前中だと大混雑しているのでしょうね。
こちらは南門で、ジェロニモス修道院に併設されているサンタ・マリア教会への入口です。教会だけの見学なら無料です。なお、ジェロニモス修道院へは南門の左側にある西門から入ります。こちらは有料。
教会に入ります。入口の扉の上には聖ジェロニモスの生涯が描かれています。その上の中央にある像はエンリケ航海王子です。
それにしても見事な装飾ですね。大航海時代におけるポルトガル独特の建築様式で、マヌエル様式と呼ばれています。その中でもこのジェロニモス修道院はマヌエル様式の最高傑作と称されています。
教会に入ると東側に主祭壇があります。
ステンドグラスもきめ細かな細工がなされています。
絵画ではないかと思ってしまうほどです。
主祭壇の反対側です。天井部分は、バルセロナのコロニア・グエル地下礼拝堂で見た構造と同じような印象を受けます。椰子の木をイメージして造られているのでしょうか?
2階に十字架に架けられたキリストが見えています。
ポルトガルの偉大な詩人カモンイスの石棺があります。ロカ岬を「ここに地終わり、海始まる」と詠んだ詩人です。
こちらはインド航路を開拓したヴァスコ・ダ・ガマの石棺です。
棺の中央に彼が乗った船が描かれています。
その棺の上の天井の装飾。
黄金の祭壇なるものもあります。
教会から一旦出て、ジェロニモス修道院に入るため西門に向かいます。写っていませんが写真の右手にあります。
1階の回廊。これから階段で2階へ上がります。
2階からサンタ・マリア教会の内部が見えます。柱の一本一本にも繊細な装飾がなされています。
1階から見えていた磔架のキリストが生々しい姿で目の前に。
2階からの眺め。
2階の回廊
歴史に関する展示もあります。
1549年、フランシスコ・ザビエルが日本に到着。
1941年真珠湾攻撃~1945年原爆投下、などなど。
建物の至る所に壮麗な装飾が施されています。
東方交易で得た巨万の富を惜しげもなくつぎ込んでいますね。
ひょうきんな恰好をしたライオン。
大きな部屋、食堂だったそうです。
きれいなアズレージョ。アズレージョとは装飾タイルのことです。ポルトガルでは至る所でアズレージョを目にすることが出来ます。
”ロープを掴む手” だそうです。みんなが触るのでツルツルになっています。
今夜はホテル前のフィゲイラ広場の周辺をブラブラしながら、適当なレストランで夕食を取ります。
フィゲイラ広場のすぐ近くにあるロシオ広場。ペドロ4世の像が建っています。
ロシオ広場から見える通り。
丘の上に行く道があります。
その麓にある洒落たレストラン。
こちらはロシオ広場からテージョ川沿いのコメルシオ広場まで伸びているアウグスタ通り。
アウグスタ通りやその周辺には多くのカフェやレストランがあります。ここらあたりで今夜の店を探すことに!
右手のお店に決定。
滞在2日目は現地ツアーでロカ岬を訪れます。
内容はポルトガル後編でご紹介します。
ツアーから夕方の5時頃ホテルに帰って来ました。夕食はアルファマ地区にあるファドハウスでファドを聞きながら頂くことに。
予約は8時から。路面電車で7時にホテルを出発。
車内から市内観光。
狭い路地を縫うように進んで行きます。
丘の上にあるポルタス・ド・ソル広場で途中下車。
ポルタス・ド・ソル広場の展望台からはアルファマ地区の旧市街が一望出来ます。向こうにはテージョ川。
赤っぽい屋根に白い壁。
広場の上にはレストランが! 午後7時半、爽やかな風と美しい景観、ワインをたしなみ料理に舌鼓を打ちながら長い夜を満喫するなんて、贅沢の極みですね。
広場から少し下がるとサンタ・ルジア展望台があります。
白い壁にアズレージョ。
こちらの壁にも立派なアズレージョがあります。
展望台から歩いて下り、アルファマ地区のレストランを目指します。
こじんまりとしたファドハウスもあります。
歩道の僅かなスペースを利用してテラス席が!
お目当てのファドハウスがありました。
クルベ・デ・ファド。世界的に有名なギタリスト、マリオ・パシェーコが手掛けるファドの名門店で、ミシュランにも紹介されているポルトガル料理のレストランでもあります。
8時からスタート。5分前ですが私達が一番乗り。
歌い手さんの写真。このファドハウスから有名な歌い手さんを多数輩出しているそうです。
とりあえずビールを!
ユニークな造りになっています。
洒落たレストランではありますが、舞台らしきものが見当たりません。
料理が運ばれて来ました。コース料理です。
ポルトガルの定番料理「バカリャウ(タラ)」のグリルです。
満席になって来ました。
ファドとはポルトガルの民族歌謡。運命とか宿命を意味するそうです。
照明が赤っぽくなり、テーブルのすぐ隣でショーが始まりました。
ファドは、歌い手の「ファディスタ」、ポルトガルギターを奏でる「ギターラ」そしてクラシックギターの「ヴィオラ」の3名で構成されるのが一般的だそうです。
ギターラの叙情的な旋律にのせて心の叫びのような歌声が聞く人の郷愁や哀愁を誘ってきます。
ショーは真夜中まで続きますが、11時も過ぎたので帰ることに。最後にファディスタのお姉さんと記念撮影。
滞在3日目。今日はリスポン市内を見て回ります。
ホテル前のフィゲイラ広場からロシオ広場を経由して少し北に行くとレスタウラドレス広場があります。(写真はロシオ駅)
グロリア線のケーブルカー。レスタウラドレス広場からアルカンタラ展望台まで、急勾配の坂道を上って行きます。傾斜地でも車内は水平が保たれるようになっています。
観光客にも大人気。
狭い所を上って行きます。
歩いて上ると大変そう。
あっという間に到着。
最後になりました。
レトロな運転席。
終点から少し上がるとアルカンタラ展望台があります。
展望台からはリスボンの東側の市街が広がって見えます。
2011年に、ポルトガルのミゲル少年が美しい街並みをバックに「ショーシューリキー」と熱唱して話題になったCMのロケが行われた展望台です。
展望台の下は公園になっています。
案内板もアズレージョで出来ています。
向こうの丘の上にサンジョルジェ城が望めます。これから旧市街を散策しながら、このお城にも行く予定です。
道路に出るとボタニカルガーデンの標識が。世界中にボタニカルとかボタニックと言った植物園がありますが、このリスボンにも! 近くにありそうなので、予定を変更して行ってみます。
門が閉まっています。裏口でした。入口は反対側で距離がありそうなので見学は諦めることに。
フェンス越しに見るとこんな感じ。大きな植物園のようです。
本来のコースに戻ります。階段の途中にも年代を感じさせるアズレージョ。
美味しそうなクロワッサンを見つけたので遅めの朝食。
朝食後、バイロ・アルト地区をブラブラと歩きます。
バイロ・アルトは古い地域で高台にあります。歩き方としては、坂の街リスボン全体に言えることですが、テージョ川に向かう感じで歩くのがお勧めです。
BONSAI という日本食レストランもありました。
バイロ・アルト地区はファドハウスや酒場などが多く集まる夜の歓楽街です。
サン・ロケ教会。天正遣欧少年使節団が1584年に滞在した教会です。
時間外で閉まっていました。残念。当てもなく歩くのもいいのですが、このようなこともままあります。
郵便配達のおじさん? 手に持っているのは宝くじ、宝くじ売りおじさんの銅像でした。手を繋げばご利益がありそう!(残念ながらありませんでした)
再びブラブラ。
ファドハウス。至るところに大小さまざまなファドハウスがあります。
アズレージョも。
こちらも壁一面アズレージョです。
カモンイス広場。ポルトガルの偉大な詩人カモンイスの像です。ジェロニモス修道院の教会に彼の石棺がありましたね。
この広場から東側に行くと人気のガレット通りがあります。
広場の傍に教会があったので入ることに。
エンカルナサン教会。落ち着いた雰囲気の素敵な教会です。
歩行者天国がありました。
ガレット通りです。
老舗カフェ「ブラジレイラ」、 1905年創業です。
店の前に椅子に腰かけた人物の銅像があります。
観光客がカメラに収めています。
フェルナンド・ペソアとあります。ポルトガルの偉大な詩人のようです。
ならば、一緒にパチリ!
もちろん、このカフェでティータイム。
ガレット通りからカルモ通りへ。
カルモ通りへ出ると、ビルの上に架かる通路が見えて来ました。
1902年に建設されたサンタ・ジェスタのエレベーターです。
高さ45mで、市街の低地から高地へ移動するための庶民の足になっています。
観光客にも大人気。長蛇の列が出来ていました。乗るのは諦めます。
サンタ・ジュスタを後にして、テージョ川沿いのコメルシオ広場に行きます。
カルモ通りから東に3本目のアウグスタ通り。コメルシオ広場に通じる歩行者専用の道路になっています。ホテルにも近く、初日の夜にこの辺りで食事をしたところです。
路上はテラス席で溢れています。
何故か路上中央にモーツァルトの像が!
路上パフォーマーでした。
アウグスタ通りとコメルシオ広場の間にある凱旋門「勝利のアーチ」です。
凱旋門の天井、
両側には美しい回廊があります。
コメルシオ広場。以前はリベイラ宮殿がありましたが、1755年のリスボン大地震で崩壊し、その跡地に宮殿広場として整備されたものです。
広場の中央には地震当時ポルトガルの国王であったドン・ジョゼ1世の騎馬像があります。
広場はテージョ川に面しています。
テージョ川。川というよりは海のような感じです。
大きな広場です。170m四方もあるそうです。
広場から小高い丘が望めます。丘の上にこれから行くサン・ジョルジェ城があります。
広場の近くで見かけた教会。ノッサ・セニョーラ・ダ・コンセイサン・ヴェーリャ教会、長い名前ですが、閉まっていました。
アルファマ地区を散策しながらリスボン大聖堂を目指します。
歩いていると、ここにも教会がありました。今度は開いています。
サント・アントニオ・デ・リシュボア教会
お目当てのリスボン大聖堂に到着。この地域の中心となる教会、つまりカテドラルですね。
リスボンで最も古い教会です。1147年から建設が始まり、1755年のリスボン大地震でも倒壊を免れたそうです。
美しいバラ窓
最後にサン・ジョルジェ城に向かいます。リスボン大聖堂からさほど遠くありませんが、坂道でもあり、トゥクトゥクで行くことに。
入口近くの土産物屋さん。カフェもあります。
何故かイワシの塩焼きを売っていました。ポルトガルの代表料理といえば “イワシの塩焼き”、初めて出会いました。とにかく頂くことに。
オリーブオイルをかけてナイフとフォークで。国民食にありつけて満足、満足!
城の主要門に1846年の日付が入ったポルトガルの紋章があります。サン・ジョルジェ城は古代ローマ時代の要塞でしたが、その後も他民族の支配やリスボン大地震の影響を受けながら、19世紀になって現在のような砦になったことをこの紋章が語りかけているようです。
路上で物を売っています。
大きな広場に出ました。
要塞の名残り。
リスボン市街が一望出来ます。
テージョ川に架かる「4月25日橋」も見えます。
こちらにもアズレージョの案内版。
大砲にも歴史を感じますが、車体も立派ですね。
真下にフィゲイラ広場が見えています。
騎馬像の正面が私達のホテル。
城壁の上にある四角い塔に上ります。
途中、孔雀が放し飼いにされていました。
こちらは雌ですね。
城壁への階段。
城壁の上の塔からの眺め。
塔からリスボンの美しい街並みが360度見渡せます。
リスボン最後の眺め。これから歩いてホテルへ帰ります。
由緒ある像? 犬でしょうか? 尻尾からみてライオンのようでもあります。
ホテル前のフィゲイラ広場から先ほどのサン・ジョルジェ城が見えます。
ホテル近くのレストランでリスボン最後の夕食。
ポルトガル風パエリア。
もちろん路上のテラス席です。
明日の早朝バルセロナに帰ります。
後編では世界遺産シントラとユーラシア大陸最西端のロカ岬をご紹介します。