インドネシア :古都ジョグジャカルタ「ボロブドゥール寺院遺跡群」
インドネシアのバリ島からジャワ島中部に位置するジョグジャカルタに移動します。今回の旅のお目当ては千年の眠りから姿を現した世界遺産ボロブドゥール寺院です。
2016年4月、3泊4日の予定で訪れます。
ジョグジャカルタ特別区、人口380万人。伝統的な文化や歴史的遺産が多く、インドネシアの京都ともいわれています。その京都府とは友好都市の関係にあります。
ジョグジャカルタから北西へ40Kmほどのところに仏教寺院のボロブドゥール遺跡、北東17kmにヒンドゥー教のプランバナン寺院があります。いずれも世界遺産です。
ジョグジャカルタ市内の見どころはたくさんありますが、水の王宮・タマンサリとクラトン(王宮)が人気です。
バリ島を出発してジャワ島上空を飛行。 ジョグジャカルタが近くなって来ました。
ジョグジャカルタ空港に到着。バリ島との時差は1時間、日本とは2時間です。
ターミナルまで歩いて行きます。
メリア プロサニ ホテル。ジョグジャカルタ市内の目抜き通り(マリオボロ通り)の近くにある五つ星のホテルです。
インドネシアの一人当たり名目GDPは日本の10分の1程度。ここまでやって来れば高級ホテルにも手が届きます。
広々としていて快適。
ホテルの前にはペチャ(写真左上)という人力自転車がたむろしています。タクシーが必要な場合はホテルのコンシェルジュで呼んでもらえます。
マリオボロ通り。ホテルから400m程です。
マリオボロ通りで馬車引きのおじさんが声をかけて来ました。
行先はタマンサリ(水の王宮)。距離にして2km程です。
馬車に乗るのは初めて。スピードはパカパカ程度で車の邪魔になりますが、お構いなし。そうこうしていると交差点でバイクに前後左右を取り囲まれてしまいました。市内は2人乗りをしたバイクだらけ。
タマンサリに到着。 記念にお馬さんと!
タマンサリ(水の王宮)。王宮(クラトン)の離宮として1758年に建築されました。
2つ目の門の先に水が見えて来ました。
プールです。当時は水浴び場で、王に仕える女性達が水浴びを楽しんだところです。
その様子を煉瓦造りの建物の窓から王様が眺めて楽しんだそうです。
タマンサリには「花園」という意味もあるとか。秘密の花園ですね!
一休み。長椅子ではなくベッドです。王様も使ったのでしょうか。
水浴び場の外に出ると広場があります。ここから周辺をぶらぶらと散歩。
おじさんが牛の皮にきれいな模様を彫り込んでいます。ジャワ島の伝統的な影絵人形芝居の人形を作っているところでした。
なぜかトンネルがあります。
トンネルを抜けると階段。
またトンネルが。お城などによくある王様の脱出用でしょうか。
今度は高台に!
まるで迷路のようでした。
次はペチャ(人力自転車)で本家の王宮(クラトン)に行きます。
ドライバーのおじいさん、痩せてガリガリです。二人乗って大丈夫でしょうか。
クラトンまで1kmほど。わずかに上りです。後ろでおじいさんがハーハー、ヒーヒー呻きながら自転車をこいでいます。今にもぶっ倒れそう!
なんとか無事到着。
ところがクラトンが閉まっていました。午後は休館、残念!
別のペチャでホテルへ帰って休憩をとることに。暑いですからね。
インドネシアは90%がイスラム教徒。イスラム教といえばアルコールは御法度ですが、観光客用のホテルやレストランでは問題ありません。
夕食はマリオボロ通りのレストランで。もちろんビールがあることを確認してから入りました。
2日目の朝。
今日は日本語ガイド付きの車をチャーターして、ボロブドゥール寺院に向かいます。
ボロブドゥール遺跡から少し手前にあるムンドゥ寺院に着きました。ジョグジャカルタから約40km 、1時間余りです。
こちらのムンドゥ寺院もボロブドゥール寺院遺跡群として世界遺産に登録されています。
お釈迦様のお出迎え。
ムンドゥ寺院。方形の基壇の上に祠堂(しどう)があります。8世紀末 ~ 9世紀初め頃に建立されています。
上部に仏塔のようなものが見えます。
祠堂の中へ入って行きます。
入り口の左右の壁には繊細なレリーフが施されています。
お堂中央にお釈迦様の像があり、
お釈迦様の左右に菩薩様が控えています。
天井は煙突のような感じで、上にいくほど狭くなっています。
祠堂の外に修復用の石がまとめて置かれています。
敷地内には大きなガジュマロの木が。
幹の途中から根が伸びています。気根です。やがて土の中に根を張り、大木を支えるようになるのでしょうね。
ムンドゥ寺院から西へ3kmほどのところにボロブドゥール寺院があります。こちらでは猫の親子のお出迎え。
駐車場から公園の長い歩道を右折したところで、正面に遺跡が姿を現わしました。
ボロブドゥール寺院です。8世紀から9世紀にかけて建立された世界最大規模の仏教寺院です。
その後、火山の大噴火によるものか、はたまた異教徒の侵略から守るために信者が土で覆ったものかは定かでありませんが、ジャングルの中に埋もれてしまいました。1814年、イギリス人のラッフルズによって発見されるまで千年もの間人知れず眠っていたのです。ラッフルズはシンガポールの創始者で、ラッフルズホテルにもその名前が付けられています。
ボロブドゥール寺院、パオン寺院、そして先ほど訪れたムンドゥ寺院の3つの寺院が、ボロブドゥール寺院遺跡群として1991年に世界遺産に登録されています。
ボロブドゥール寺院は自然の丘に盛土をし、石を積み上げて造られています。高さは約35m。基壇は一辺が約120mの方形で、その上に5段の方形壇と3段の円形壇からなる9層のピラミッド構造になっています。
石造りの方形壇には回廊があり、その壁一面にレリーフが刻まれています。
レリーフには仏陀の生涯や大乗仏教の教えを説く場面が描かれています。
これらのレリーフを眺めながら上層階に昇って行けば悟りの境地を体験出来るそうです。
とはいえ、レリーフの壁は5キロにも及びます。この暑さの中をじっくり見ることなど叶いません。
レリーフの上の段には仏像が並んでいます。
こちらは壁一面のレリーフ。
ガイドさんは女学生。ここで問題発生! ガイドさんが貧血でダウンしてしまいました。暫くすると回復して来たのですが、念のためガイドさんを残して我々だけで見学を続けることに。
こちらの回廊には両側の壁にレリーフが彫られています。
上層階への階段。急傾斜のため、恐る恐る下りて来ています。
次の段には仏像がならんでいます。が、頭部がありません。火山噴火によるものか、それとも盗み去られたのでしょうか。
7層目です。ここから最上階の9層目までは円形壇になっていて、そこはストゥーパだらけ。ストゥーパとは仏塔で、仏陀の遺骨や遺品を安置するためのものです。
ストゥーパは全部で72基あります。
ストゥーパの中を覗いてみると、仏像が一体づつ納められています。なんと穏やかな表情でしょう。
こちらのストゥーパには囲いがありません。仏様のお姿が見えるとあって、人気の写真スポットです。
ということで、我々も。
天上界を意味する最上層。中心に大ストゥーパがあります。
それにしても左側の女性、恐れ多くもストゥーパに腰を掛けています。ヒンドゥー教徒のようですね!
そのストゥーパには「No Scratching」との注意書きがあります。傷つけたり、落書きしたりしないようにしましょう。もちろん腰掛も!
大ストゥーパには窓がなく、無の世界を表しています。この大ストゥーパに仏陀の遺骨が納められているそうです。
最上層からの眺め。周りはジャングル。
ジャングルの中に建てられていることが実感出来ます。
夜明け前の眺めが神秘的で美しいとのこと。いつか機会があれば見てみたいものです。
名残が尽きませんが、下界に戻ります。
愛嬌たっぷり。ライオンですね。
慎重に下ります。
8世紀から9世紀にかけて、世界最大級の仏教寺院がジャングルの中に建てられたなんて不思議そのもの。
その後、ヒンドゥー教からイスラム教へと時代は移りましたが、1000年もの間無事だったことも奇跡としか思えません。
このボロブドゥール寺院を上空から見るとどのようになっているのでしょう。
グーグルマップの航空写真です。
こちらはJTBさんからお借りしました。すごい! の一言。
基壇の上に5段の方形壇そして3段の円形壇、最上階中央に大仏塔、構造がよく分かります。
こちらにも修復を待つ石が整然と置かれています。
感動のボロブドゥール寺院遺跡でした。
売店にココナッツ。
さっそくココナッツジュースを注文。新鮮そのもの。しかも安全安心、アジアで生水は厳禁ですから。
土産物屋さんを横目に眺めながら駐車場へ。
ジョグジャカルタに帰って、遅めの昼食。老舗のアヤゴレン・レストランです。
アヤゴレンとはフライドチキンのこと。外はサクサク、中はジューシー。ピリッと辛いソースで頂きます。
食後、コタ・グデkota gedeにやって来ました。銀細工の街として知られています。銀のスプーンが欲しかったのですが、残念ながらめぼしいものはありませんでした。
滞在3日目。本日は午後から車をチャーターして、ジョグジャカルタ郊外の世界遺産プランバナン寺院に出かけます。
午前中はホテルでまったり過ごします。
朝食はビュフェスタイル、巻きずしもあります。アジアに来てから中華系の重めの食事が続いていますので、朝は軽めのお粥が一番。
食後はプールサイドでコーヒータイム。
すらりとした美人ですね。
池には鯉が。庭の手入れも行き届いています。
プランバナン寺院に向けて出発。ホテルから40分ほどです。バイクに山ほど積まれているのはサトウキビのようです。
プランバナン寺院に到着。
プランバナン寺院は9世紀後半に建立されたヒンドゥー教の寺院です。ボロブドゥール寺院より100年ほど後になります。
ジャワ島中部にヒンドゥー教のプランバナン寺院と大乗仏教のボロブドゥール寺院がほぼ同時期に共存していたことになります。
プランバナン寺院は高さ2m、一辺110mの方形の基壇の上にヒンドゥー教の三大神とされる「シヴァ」「ヴィシュヌ」「ブラフマー」が祀られています。
1991年に、周辺のヒンドゥー教寺院や仏教寺院を含めてプランバナン寺院遺跡群として世界遺産に登録されました。
基壇の上に三大神を祀る大祠堂(しどう)が見えて来ました。南(左手)にブラフマー堂、中央にシヴァ堂、北(右手)にヴィシュヌ堂が並んでいます。そして、それぞれの祠堂の正面に各神様の乗り物であるハンサ(白鳥)、ナンディ(牡牛)、ガルーダ(神鳥)の小祠堂があります。
寺院の周辺には修復前の石材が無造作?に置かれています。火山噴火で倒壊した時のものです。
壁面の石に描かれたレリーフ。 魔除けの石像。
ガイドさんの計らいでポーズ。
プランバナン寺院の主神シヴァを祀る大祠堂。高さ47mで最も大きな祠堂です。
シヴァ堂入り口の階段下には海の怪物マカラの像があります。
シヴァ堂に入って行きます。祠堂には4つ部屋があります。
東側の部屋にはヒンドゥー教の主神シヴァの像が祀られています。シヴァ神は破壊と創造の神様。新コロナで世界を破壊し、その後に新しい時代を創ろうとでもしているのでしょうか。
天井部分は昨日訪れたムンドゥ寺院と同じような造りです。
次は、回廊を通って南の部屋に行きます。
回廊には精緻なレリーフが。レリーフには古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」が描かれています。
「ラーマーヤナ」は古代インドの影響が及んだアジアの国々で今なお伝統文化として継承されています。バリ島で見たケチャックダンスも同じ物語りですね。
南の部屋です。シヴァ神の師である聖者アガスティアの石像があります。
次は西の部屋に回ります。
ガネーシャ神です。シヴァ神の息子で学問と商売の神様です。象の頭を持つガネーシャ、よく見かけますよね。
最後は北の部屋へ。回廊には小さなストゥーパのようなものが並んでいます。
ドゥルガー神の部屋。
シヴァ神の妻で、絶世の美女だそうです。インドネシアはイスラム教のためシヴァ神は人気がありません。が、ドゥルガーは絶世の美女ということだけあって、大人気。
ドゥルガー像に触ればご利益があるそうで、至るところ黒光りしています。
シヴァ大祠堂の正面にナンディ小祠堂があります。
ナンディ堂の中に入ります。
入り口上の魔除け。
中にはナンディ神が祀られています。ナンディはシヴァ神が乗る聖なる牛です。
この部屋には太陽の神スーリヤと月の神チャンドラも祀られていました。
外は炎天下。ガイドさんがカラフルな傘を借りて来てくれました。
世界遺産プランバナン寺院でした。
ヤシの木? ではなくパパイヤの木です。実のなり方が面白いですね。右はパパイヤの断面。大きさは30cmくらいで、私の一番好きなトロピカルフルーツです。最初は少しくせがありましたが、慣れるとやみつきになってしまいました。
ジョグジャカルタ最後の夜は伝統舞踊の鑑賞。ディナー付きで、ビュッフェスタイル。今回の旅では毎度このような感じです。日本人に合う味ですが、毎日となると少し重いですね。
食事中にのっそりやって来ました。アルマジロでしょうか?
会場に行くと、踊り手の方が出迎えてくれました。どこかで見たような気がします。
早めに来たので、前の席を確保。 ショーの始まりです。
最初に出迎えてくれた踊り手さんです。この二人が主人公。
どこかで見た筈です。バリ島のケチャックダンスと同じ古代インドの叙事詩ラーマーヤナの物語です。猿の将軍ハマーンが出て来ました。
王子妃シータは魔王に捕らわれランカ島に連れ去られます。
ランカ島? スリランカです。古代インドでは、スリランカは悪魔の住む島だったのでしょうか。タミル人のスリランカ侵略と重なりそうです。
ケチャックダンスは激しい動きで観客を楽しませてくれましたが、こちらはゆったりとした優美な舞いです。
ラーマ王子の弟ラクシュマナ、弓の名手です。 魔王をやっつけて、王子妃シータを助け出します。
ケチャックダンスを見た時にあらすじを確認していたので、役に立ちました。
最後は観客と記念撮影。
おもてなしに皆さん大満足。
旅の最終日。シンガポールに始まり、バリ島、そしてジョグジャカルタへと名残は尽きませんが、夜の便で日本へ帰ります。それまで買い物。
ペチャでマリオボロ通りにやって来ました。
るるぶのお土産リストを参考に、
お土産になりそうなものを適当に漁ります。
通りにはドリアンを食べさせてくれる屋台がありました。
玉子のような白いドリアンの実にかき氷をかけて出て来ました。おそるおそる! 匂いよりも氷が気になります。東南アジアで生水は御法度、氷も要注意。初トライでしたが、かじった程度で味わうゆとりはありませんでした。
12日間の日程を無事終え、ジャカルタ経由で日本に帰ります。
リタイヤ後の旅第6弾はタイ、カンボジア、ベトナムです。今回よりも少し日本よりの地域になります。